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「君は実に、不可思議な存在だ。その年齢で年不相応の実力、それも皆をまとめ上げる統率力。だから結構な年だろうと噂され、だが実際はこうも幼く、成人ですらしていない学生。
私は疑問に思うのだ。その実力を手に入れるための努力は、並大抵のものではなかっただろう。毎日毎日、訓練に明け暮れただろう。
その気力となったのは、何だい?君はどうして、力を欲した?」
さっきまでのはしゃいでいるという雰囲気を引っ込めて、レオは僕に問いかけた。
一般の人は、冒険者止まりの人が多い。
ギルドのランクを上げ隊員を目指し頑張るが、それは夢にとどまり、才能を開花させ隊員になれたとしても、帝になるなんて夢のまた夢の話。
そしてそんな帝の上にいるという、零帝の存在。
しかも、隊員よりも若い年齢で。
並大抵の努力ではないと思うのも無理はない、そしてその糧となったのが、何なのか不思議に思うのも。
「僕はただ、生きるために必死になっていただけです」
あの頃を思い出しながら、僕は苦笑した。
物心つく前から、僕には居場所がなかった。
拾われはしたものの、そこは最低な家で。
食事は与えられたが必要最低限、毎日毎日訓練に明け暮れて、拾われた理由が金になりそうだったから。
赤ん坊だった僕を見て、内に秘められた魔力量にほくそ笑み、将来冒険者として名を馳せて、金づるにしようとしたのだ。
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