1662人が本棚に入れています
本棚に追加
「少しは自分の事を考えたらどうだね。今まで、他の人がどうしてほしいか、そしてそれに応えるために自分がすべきことをしてきただけで、自分がどうしたいのか考えたこともなかったのだろう。少しは我儘を言いなさい、自分の意思を持ちなさい。それが許される年齢であり、君は人形では無いのだから」
レオが僕の頭から手を離すと、乱れた髪が変な方向にはねた。
人形、確かにそれは今までの、零帝としての僕にピタリと当てはまるかもしれない。
感情の起伏がなく、何を言われてもされても、感情が動いたことなんてなかった。
今までの人形から、感情を持つ人へ。
その転換地点に今、僕は立っているのかもしれなかった。
「さて。君が自身の力に対して、どういう感情を抱いているのかは分かった。
ここからが、本番だ。君にかけられている魔法について、調べさせてもらう」
このレオという男は、どうやら僕と同じように心属性を保有しているようだった。
僕が王子に調べたように、今度はこの男が僕の今の状況について心属性を用いて調べる。
「お願いします」
そう言うと、僕の腕にレオが手を置く。
「では、楽にしなさい」
「はい」
目を閉じて、体の力を抜いた。
レオの魔法が、体内に入ってくるのが分かった。
それは僕の心臓の辺りにうろつき、心がほわほわと、温かくなる。
最初のコメントを投稿しよう!