8-王宮にて

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「少しは自分の事を考えたらどうだね。今まで、他の人がどうしてほしいか、そしてそれに応えるために自分がすべきことをしてきただけで、自分がどうしたいのか考えたこともなかったのだろう。少しは我儘を言いなさい、自分の意思を持ちなさい。それが許される年齢であり、君は人形では無いのだから」 レオが僕の頭から手を離すと、乱れた髪が変な方向にはねた。 人形、確かにそれは今までの、零帝としての僕にピタリと当てはまるかもしれない。 感情の起伏がなく、何を言われてもされても、感情が動いたことなんてなかった。 今までの人形から、感情を持つ人へ。 その転換地点に今、僕は立っているのかもしれなかった。 「さて。君が自身の力に対して、どういう感情を抱いているのかは分かった。 ここからが、本番だ。君にかけられている魔法について、調べさせてもらう」 このレオという男は、どうやら僕と同じように心属性を保有しているようだった。 僕が王子に調べたように、今度はこの男が僕の今の状況について心属性を用いて調べる。 「お願いします」 そう言うと、僕の腕にレオが手を置く。 「では、楽にしなさい」 「はい」 目を閉じて、体の力を抜いた。 レオの魔法が、体内に入ってくるのが分かった。 それは僕の心臓の辺りにうろつき、心がほわほわと、温かくなる。
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