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「フム。確かに、王子と状況は似ている。だが、魔人の魔法による浸食を、魔法を使うことにより封印されている。これはどうやったんだい?」
「この魔法は、聖魔法を濃縮した塊です。魔人が使うのは闇の魔法、なら対抗するには、聖の魔法を。闇と聖が拮抗することにより、封印に成功している状態です」
「だが、この闇の魔法はじわじわと君の精神を蝕んでいる」
「はい。布に水がしみこむように、完全に封印できなかった部分から、僕の心にじわじわと忍び込んできているのです」
一度侵入されたところを元に戻すことはできず、黒く染まった部分を再び封印し、また忍び込みを繰り返していた。
そしてそれは、ゆっくりとだが確実に進んでいるのだ。
この闇を取り払わなければ、僕の力は取り戻せない。
「なるほど、大体は分かった。私なりに色々と調べてみようと思う。何度か協力を仰ぐことになるだろうが……」
「その時は、よろしくお願いします」
レオが僕の腕から手を離し、神妙に頷いた。
きっと彼の頭の中では、これからどうするかの計画が浮かんでいるのだろう。
数秒考えこんだような彼は、「うむ」と頷くと、立ち上がる。
「私はこれくらいで失礼しよう。では、また」
「はい。今日はありがとうございました」
「いや、私も話を聞けて良かった」
嵐のようにやってきた彼は、こうして部屋から去った。
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