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ギルドマスターにより提案された、指名依頼。
変装して、ギルドの隊員や帝らの補助を行う。
それは確か、新歓が終わった後からスタートされるはずである。
「そして最初の案件は、ルピナス隊だと」
「えっ!?」
聞いていなかった事実が王女の口から飛び出し、すかさず王女の顔を見つめた。
「A級魔物の群れの退治を補助すると聞いたのですが……」
戸惑いがちに、王女が口にする。
そんなの、僕は聞いていなかった。
あれから何日も経っているし、そりゃ決まっていてもおかしくないことだが。
もしかしたら、今から話される内容なのかもしれない。
タイミングよく王女の耳には先に入っていただけで。
「そう、なんですね……何だか、緊張しますね」
零帝として会っていた時との違いに、僕はすぐに慣れるのだろうか。
彼らといることでまたないはずの力を勘違いし、無様な姿を晒すことにならないか。
もし零帝だとバレて……蔑まれたら。
そんな不安ばかりが浮かび、僕の顔は青ざめる。
それを王女が見て、彼女は優しく僕に笑いかけた。
「零帝として接するのではないんです。いつもの学校にいる感じで、接してみてください。そうすれば、零帝だとは絶対にバレませんから」
「……そんなに、零帝と普段の僕は違いますか?」
「はい、とても同一人物だとは思えないくらいには」
「…………」
「そういう顔を言っているのですよ」
少し口を歪めただけなのに、王女に指摘される。
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