8-王宮にて

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零帝としての僕と普段の僕が違うのは自覚しているけど、他人からこうもはっきりと肯定されるとつい否定したくもなる。 ……まあ、事実だから否定なんてできないんだけど。 「けれどどうか、無理はなさらずに」 「……分かっています」 王女が心配そうに言うから頷き、立ち上がる。 「ではそろそろ、お暇させていただきますね」 「はい。今日は本当に、ありがとうございました」 「こちらこそ、王子の様子が見れて良かったです」 残っていたお茶を飲み干し、入り組んだ王宮の玄関を目指して僕らは歩き出した。 その時、ピクリと王子の指が動いたのに、気づかずに。
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