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零帝としての僕と普段の僕が違うのは自覚しているけど、他人からこうもはっきりと肯定されるとつい否定したくもなる。
……まあ、事実だから否定なんてできないんだけど。
「けれどどうか、無理はなさらずに」
「……分かっています」
王女が心配そうに言うから頷き、立ち上がる。
「ではそろそろ、お暇させていただきますね」
「はい。今日は本当に、ありがとうございました」
「こちらこそ、王子の様子が見れて良かったです」
残っていたお茶を飲み干し、入り組んだ王宮の玄関を目指して僕らは歩き出した。
その時、ピクリと王子の指が動いたのに、気づかずに。
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