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「アル兄、ちょっといい?」
新歓の前日。
明日の事を話し早くもそわそわとし始めている教室内で、ミリーは僕に話しかけてきた。
「いいけど……」
僕の返事を聞いて、「来て」とミリーが僕の腕を掴む。
フレイやリアに混じってミリーと話すことはあるが、こんな個人的な感じは初めてで、どこにいくのだろうかと疑問に思いながらもついていった。
そして辿り着いた場所にいたのは、テル。
ミリーと、そして僕の兄でもあるらしい男。
「ごめんね、昼休みに」
申し訳なさそうに眉尻を下げた彼は、真剣な表情を僕に向けてきた。
「君に、お願いがあるんだ」
兄弟とは言われてもそこまで実感することはなく、普通の友達として接していたミリーと、そもそもあまり関わりがなく、通りかかったら挨拶していたくらいしか接してこなかったテル。
二人が並んで、真剣に僕を見つめてきた。
「両親に、会って欲しいんだ」
何を言われるのか構えていた僕に言われたのは、そんな言葉。
両親という言葉が自身と離れすぎていて、一瞬思考が停止する。
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