9-新歓

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「行こうぜ!」 フレイがいつも通り元気いっぱいに僕の手を引き、皆が集まっている掲示板の前に出た。 そこに張り出されているのは、今日の試合の相手。 どうやら三チームに分かれてするらしい試合は、僕がAチーム、そしてフレイがCチームだった。 各チームの優勝者が、最後の試合に進むことができるというもの。 そして、僕の最初の試合相手は……。 「アルディル・アマルド」 呼ばれ、振り向く。 そこには、仁王立ちで立っている、キーシィスの姿が。 新歓に出る僕らが集まったことにより、周りが察したのか、さっと僕らを中心に輪ができた。 「俺は、絶対に勝つ。お前にだけは……負けない」 それだけ言ったキーシィスは、後ろを向いてこの場を去った。 周りが騒然となる中、僕はそっとため息をつく。 そう、僕の最初の試合相手、それはキーシィスだった。 あの授業の日以来話しかけてはこなかったものの、いつも睨んできていて、目の敵にされていた。 それもそうだろう、皆の前で吹き飛ばされ気絶するという辱めに合わされたのだ。 何か言われたりされたりするよりましだ、だって視線だけなのだから。 だが今日は……遂に、この試合で、僕に勝つと宣言した。 僕に勝つことで、あの授業の日の記憶をすり替える、そのつもりなのだろう。 貴族としてのプライドにかけても、何があっても勝つつもりなのだろう。 「お互い頑張ろうな、アル!」 「……うん、そうだね」 やる気満々なフレイの隣で、僕はただただ憂鬱だった。 キーシィスとの試合……どう、負けようか。 その考えで、僕の頭は一杯だったのだ。
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