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その為に、今日母親とアルディを会わせる。
けれど……。
(簡単に、許せるはずもない)
アルディは、捨てられたのだ。
そこから運良く生きていたとはいえ、どんな人生を送ってきたのかも知らない、なぜ今ギルドマスターに拾われているのかも、最初からマスターに拾われていたのか、最近なのかも、今まで安全に暮らしていたのかも、何もかも知らなかった。
でも、これだけは断言できた。
きっとアルディは、あれから過酷な日々を送ってきたのだという事。
じゃないと入学当初の様子が説明できない。
泣きじゃくっていた彼はまさしく子供、そして何かしら抱えているのであろう態度と表情。
その状況に追い込んだのはテルの母親であり、自分の人生がそこで転機を迎えたとなると、恨むのも無理ない話である。
けれどどうか、今日のこの再会が、良い方向に転びますように。
テルは不安になりながらも、祈るしかなかった。
△▽
「アル兄、頑張ってね!」
「う、うん。頑張る」
キラキラとした目を向けられ、ミリーと他の人にも見送られる。
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