9-新歓

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「わっ」 フレイの足に蔦が絡む。 瞬時に燃やしたけれど次々に襲いかかるそれに追いつけなくなり、遂にフレイの両手両足にそれは巻きついた。 彼を持ち上げ、フレイは苦しさに呻く。 「くっ……」 呻いたフレイは、徐に今度は左手を先ほどのように差し出し、詔を紡いだ。 「我と契約にあるものよ。 契約の元、我に力を差し出せ! 今、二人の力を我に示し、我と共にあれ!」 先ほどの光とは違い、まばゆい目を開けられないほどの光に包まれたフレイは、顔を歪めながら両手を前に突き出した。 「吹き荒れる風よ! 火をまといし熱風よ! 目の前のものを巻き込み燃やし、嵐となれ!!」 それは、混合魔法。 二つの属性を持っていたとしても使いこなすことがあまりできないとされているそれを、フレイは巧みに操り、絡まった蔦を一気に払った。 そして距離を詰め、相手の首元に剣を突き出す。 「……参ったわ」 悔しそうに、彼女が言う。 それを聞き、詰めていた息をふうっとに吐き出した彼は、しゃがみ込み頭を抱えた。 「良かった〜」 息を乱したフレイは、安心したように笑顔を見せた。 一人だけでも魔力の消費が激しいそれを、短時間とはいえ同時に二人もやったのだ。
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