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立ち上がるけれどふらふらっと数歩歩いたところで、魔力切れによりフレイは倒れた。
シンと静まっていた観客が、それにより我に返り、徐々に活力を取り戻す。
「今年の一年生、すごくないか?」
「ああ、一年生対二年生の場合、二年生が勝つのが常なのに今年は何人か一年生が勝っている。零帝様の隊員もいるし……こりゃ、豊作だな」
「だな。滅多にいないとされている固有属性の持ち主もいるしな」
「さっきも、貴族に自ら負けを認めさせた奴がいるって話だぜ?」
「そりゃすごい。俺たちも、負けてられないな」
「だな」
同じような内容を、先輩と思われる人たちが噂していた。
「二人とも、本当にすごいわ。もう、注目の的ね」
「本当、自慢のお兄ちゃんだね!」
それをニコニコとリアとミリーが聞き、フィーナリアはオロオロと心配そうにフレイを見ていた。
「行っていいと思うよ?」
僕がそう言うとコクリと頷き、フレイのもとに駆けていった。
そのまま保健室に連れていかれるであろう彼についていき、残された三人で「そろそろお昼ね。家族のもとに行きましょうか」というリアの提案に乗り、約束通りミリーについていこうとした時だった。
「アルディ!ちょっと来てくれ!」
「……へ?」
いきなり手を引かれ、闘技場の外に連れていかれる。
「テ、テル兄?」
ミリーも戸惑いがちに僕らの後ろをついていく。
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