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彼女を守りたいのは、子供の頃からずっと一緒だったからではない。どんなに辛い時でも隣にいて笑ってくれる。そんなロゼを、愛しているからだ。だから。
(やっぱり帰ろう、ロゼの下に)
御守りを見ているうちに気分が落ち着いてきたカイは徐に席を立ち、酒代を払って出口へと向かった。
そんなカイが、外に出ようとした時。
「おいっ、外で女の子が変な男達に囲まれてるぞ!」
窓際にいた客が、外を見て叫んだ。
もしや、と思って飛び出すと、案の定目の前にあったのはロゼの姿。しかも今度は六人の男達に囲まれていた。
「ロゼ!」
「カイ!」
危機を目にしたカイは、何故ロゼがここにいるかなんて考える余裕もなく男達の中に飛び込む。しかし―――
「来たな、ボウズ。さっきはよくもやってくれたが、今度はそうはいかねぇぞ!」
ロゼから離れた男達が、今度はカイを標的にするかのように囲んだ。
「ロゼ、ここはいいから逃げろ!」
男達の目が自分に向いているのなら、この隙にロゼを逃してしまおう。そう考えている内に、男達が一斉に殴りかかってくる。
「う、ぐっ」
頬や溝尾を強打されたことで一瞬、意識が遠退く。それでも倒れるものかと踏み止まるが、すぐさま次の拳が振ってきて、カイは固い土の上に倒れ込んでしまった。
「いや! もうやめて! 貴方達が欲しがってる碧鱗はあげるから、カイを離して!」
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