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ロゼが腰袋から、神龍の碧鱗を取り出す。だが男達は、ロゼの方には見向きもしないで拳を振り続けた。
「悪いが、このクソガキにやられたままじゃ、気が治まらねぇんだよ。お嬢ちゃんはコイツをいたぶった後に、宝石諸共可愛がってやるから、そこで大人しくしとけ」
固い拳で殴られる中、男達の目的にロゼも含まれていることを知ったカイは絶望に目を見開いた。
ダメだ。自分や宝石はどうなっても構わない。だが、ロゼだけは―――。
「ロ……ゼ、逃げろ……ぐっ……早く!」
「嫌よ、カイを置いていくなんて、出来るわけがないじゃない!」
全身に走る激痛に顔を歪めながらも逃げろと言うカイに、ロゼが首を横に振る。
「それでもっ、逃げろ。俺は――」
また一発、また一発と殴られる中、カイがグッと奥歯を噛み、そして光の如く強い目でロゼを見る。
「俺は、ロゼを失いたくないんだよ!」
それは生まれて初めてロゼに伝えた、カイの本心だった。
「カ……イ……―――え?」
カイの告白に、目を見開いて時を止めていたロゼが、ふと何かに気を奪われる。
「碧鱗が!」
ロゼが上げた声に、男達の手が止まる。振り向くとロゼから、いや、碧鱗から眩い光が放たれているのが見えて。
次の瞬間、カイの視界は白に閉ざされた。
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