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「一体、どうなってるんだ?」
「どうなってるって……」
ポカンとした顔で見合う二人がいたのは、街から少し離れた森の中だった。
「ちょっと待て、状況を整理する。俺達はならず者達に絡まれて……」
「カイが私に告白して」
「それはとりあえず、横に置いてくれ。で、突然碧鱗が光り出して……って、碧鱗は?」
カイに言われてロゼが掌を開く。と、そこには内側からの光も全体の透明度も落ちた碧鱗が収まっていた。
「光が消えたということは、碧鱗から力がなくなったということ。じゃあ、碧鱗の力を使ったということか?」
「多分、そうだと思う」
「ロゼ、あの時一体何を願ったんだ?」
「それは……」
何を願ったか聞いただけなのに、途端にロゼは黙りこんで、もじもじと恥ずかしがる素振りを見せる。だが、答えるまで許さないと言わんばかりに見つめるカイに観念したのか、ロゼは視線を逸らしながら真相を告げた。
「私は何も願ってないわ。願ったのはカイよ」
「俺? どういうことだ?」
「だから、碧鱗はカイの願いを叶えてくれたのよ。私がそうしてくれるよう、願ったから」
ロゼの説明を頭で整理しようとして、さらに分からなくなる。
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