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「碧鱗は、二度願いを叶えてくれたということか?」
言い伝えでは、碧鱗が叶えてくれる願いごとはたった一つ。それが叶うと以後数百年は力を蓄えるため、普通の宝石と化してしまうと言われている。
「違うわ。私が碧鱗に願ったのは『カイが心の底からの願いを口にした時、それを叶えてあげて下さい』っていう願いごとなの」
「俺が心の底から願った? ……ッ!」
カイが願ったことと言えば、ただ一つ。
『俺は、ロゼを失いたくないんだよ!』
カイは、自分が高らかに告げた告白を思い出して頭を抱えた。
(まさか、あの告白が碧鱗への願いごとになるなんて)
しかし今の状況を考えれば、全て納得はいく。突然、人外の力で窮地から脱したこと、それに―――ロゼがなかなか願いを口にしなかったことも、だ。
「どうして、そんな願いごとを?」
「だって、カイはいつも私のことばかりで、自分のことを後回しにするんだもん。だから、どうしてもカイの願いを叶えてあげたくて」
ロゼの優しさに心が温かくなる。彼女は昔からそうだった。奔放でお転婆で、どうにも手が付けられないのに、いつも最後にはカイを一番に考える。
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