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今回のことだって、願いごとが思いつかないなんて可愛らしい嘘をついて、願いを譲ってくれた。こんなロゼだから、命を掛けて守りたいと思うのだ。
「でも、ロゼの願いは良かったのか?」
「私はいいのよ。こうしてカイと一緒にいられることが、私の一番の願いだから。もう叶っているも同然だもの。だから……」
話の最中、ふとロゼの顔が寂しそうに翳り、やがて大きくて綺麗な瞳に涙の粒が浮かんでくる。
「だから、もう私を置いていかないで。ほんの少しカイと離れただけでも辛くて、怖くて……死んじゃいそうだった」
ロゼの涙に、胸がズキンと痛んだ。こんなにも孤独を怖がるロゼを、自分はさっき一人にしてしまった。そんな自分の愚かさを、呪ってやりたくなる。
「そうか、ずっと一緒だったもんな。悪かった。もう俺は二度とロゼを一人にしないって約束する」
「本当?」
「ああ、本当だ。だから―――」
ポロポロと涙を零しながらもこちらを真摯に見つめるロゼの腕を取り、引き寄せて抱き締める。
「結婚しよう。もう二度と離れないよう、心も身体も全部ロゼと一緒になりたい」
「カイ……? うん! うん! 私、カイのお嫁さんになる!」
カイの胸の中、ロゼは心底嬉しそうに首を大きく縦に振る。そして少しだけ身体を離し、向かい合った二人は―――生まれて初めてのキスを交した。
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