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ロゼは無鉄砲で無計画で、冒険家のくせに地図を一切見ようとしない。自分の感覚だけを信じて、突っ走る。だから毎度何かしらの罠に填っては人を心配させるのだが、その代わり、必ずと言っていいほどこうして宝を見つけてくる。それは恐らく天性の才なのだろう。
だがカイは素直に喜んでいいのか否か、いつも悩むところだった。
確かに宝石が手に入るのは嬉しい。けれどロゼにはあまり怪我をして欲しくないのだ。
「ってことで、自慢終わり。はい、これはカイが持ってて」
ロゼが紅玉をカイに向かってポイっと投げてくる。
「いいのか? この紅玉なら装飾品にも加工できるけど……その……」
「装飾品? そんなのいらないわよ。それよりも、次のお宝探しに行きましょう」
カイと同じ十七歳のロゼは、装飾品にも興味を持つ年頃だ。それなのに、ロゼは一度も欲しいと言ったことがない。
もしかして、自分は彼女に我慢をさせているのだろうか。いくらロゼが宝を見つけてくれるとはいえ、決まった収入がない二人の旅は、いつまで経っても貧乏旅だ。時には野宿が続く時もある。服だって、未だ安い旅人用の服とマントしか買えない。
ロゼはそれを知っているから望まないのだと、そう思えて仕方ない。
「すまない……ロゼ」
「ん? 何か言った? あ、お腹すいたの?」
しかし、たまにこちらから素直になってみても、当の本人はこれだ。いつも出端を折られてしまう。
「……いや、なんでもない。ところで、アレの使い道決まったか?」
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