地味子ちゃんが部下になったけど結構仕事ができる!

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地味子ちゃんを知っていて手で合図する女子社員もいたが、大概は型通りの挨拶。 企画開発室の女子社員は一人派遣の子がいるが、他は全員大学卒の正社員。独身の男性社員も何人かいるようだが、地味子ちゃんには全く無関心だった。 それというのも、地味子ちゃんの服装はいうまでもなくとても地味。黒のスーツに白のブラウス、髪は後ろで結んでポニーテイルにしている。 職場が変わったので、気を使ったのか、今日はまるでリクルートスタイル。腕には幅広い革のバンドの男物の腕時計をしている。 化粧はしているが薄化粧で口紅も目立たない。それに大きめの黒縁のメガネ。 室長から地味子ちゃんの個人情報を受け取っていた。これは管理職だけのマル秘人事資料。 顔写真、氏名、生年月日、住所、電話番号、学歴、資格・特技、派遣会社名、社内勤務歴などが記載されているもの。高卒で生年月日から24歳、吉本君と同い年だった。 挨拶を終えて二人で席に戻る。吉本君は席にいた。 「今日、仕事が終わったら、横山さんの歓迎会をしたいけど、二人の都合はどう? もちろん、費用は僕が負担するから」 「わざわざ私のために申し分けありません。私は大丈夫ですけど」 「今日は人と会う約束があるんですが」 「吉本君、それは何時から?」 「7時です」 「それなら30分位付き合ってくれないか。今日を逃すともうできないから、場所は会社の近くのビアレストランにするから」 「30分くらいならいいですよ」 「それじ ゃ、5時になったらすぐに3人で行って始めよう」 「それから、横山さん、今日10時から、新規のプロジェクトの事前打合せをするので、3人で一緒に出席してほしい。打合せの議論をメモに取って会議録にまとめてもらいたい」 「そんな仕事、私で大丈夫ですか」 「大丈夫、僕もメモを取るから。そのメモもあとで渡すから、まとめてくれればよい」 「分かりました」 事前打合せは10時から昼頃までかかった。いろんな意見や要望が出た。事前にこれをやってあく抜きをしておくと問題点や各部門の本音が分かって後の調整がやりやすい。 僕の取ったメモを地味子ちゃんに渡して、それから以前作った会議録を例に示してまとめ方を指示する。あとは地味子ちゃんにおまかせ。お手並み拝見だ!
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