901人が本棚に入れています
本棚に追加
/104ページ
「お疲れさん、メモのまとめ頼むね」
「分かりました。大学教授って普通の人ですね。怖い先生かと思っていました」
「そう、いたって普通。大体、変わった人は教授になれないから、安心して普通に話ができる」
「大学のキャンパスっていいですね」
「活気もあるけど、ゆったりしていて、落ち着く。僕も好きだ。学生時代が懐かしいよ」
「私も大学へ行きたかったです」
「大学へ進学しなかったのは、お父さんが亡くなったから」
「はい。成績も悪くなかったので、母は進学を勧めてくれましたが、苦労をかけたくなかったので、高校を卒業してすぐに就職しました」
「僕は大学1年の時に両親が交通事故に遭って亡くなってしまった。幸い保険金があったので、なんとか卒業できたけど」
「パソコンはいつ勉強したの?」
「就職してからです。前の会社にいるとき、廃棄するパソコンを貰って、独学しました。会社がパソコンの専門雑誌をとっていたのですが、私が雑誌類を整理する係だったので、廃棄するその雑誌を家に持ち帰って、休みの日に初心者向けの記事を試しながら覚えました」
「随分努力家なんだね」
「パソコンくらいできないといけないと思って頑張って覚えました。でも 、ようやく役に立ちました。覚えておいて良かったです。分からないところは、会社で聞いたり、操作するところを見させてもらいました」
「総務部ではパソコンを使った仕事はしなかったの?」
「総務部では来客へのお茶の接待とコピーなどが忙しくて、そこまでさせてもらえませんでした。それに自分専用のパソコンがなかったですから」
「うちの企画開発室もパソコンの専門雑誌をとっていたから、時間が空いた時に読んで最新の情報を教えてくれる? 僕もなかなかついて行けてないから」
「ありがとうございます。そうさせてもらいます」
最初のコメントを投稿しよう!