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6時半ごろに携帯が鳴って目が覚めた。地味子ちゃんからだ。
「岸辺さん、調子どうですか?」
「熱が下がらないので、1日寝ていた。医者へ行って薬を貰って飲んだからじきに良くなると思う」
「お見舞いに来ました。マンションの入り口にいます。ドアを開けて下さい」
「ええ…お見舞い、分かった、開けるから。部屋は3階の309号だ」
ドアのチャイムが鳴ったのでドアを開けると、地味子ちゃんがレジ袋を提げて立っていた。
「失礼します」と靴を脱いで上がってくる。
リビングに荷物を置いて、キッチンを見て「休んでいてください。夕食に何か作ります」と料理を始めた。
「気になさらないでください。上司の様子を見に来ました。室長に許可を得ていますし、住所も教えてもらいました。私の風邪をうつしたみたいで申し訳ありません」
「横山さんも誰かにうつされたんだろう」
「吉本さんかもしれません。先々週、身体がだるいとか言って、1日休んでいましたから」
「我がチームは、はやり風邪で全滅か! ところで、進捗会議どうなった? 報告だけだから問題はなかったと思うけど」
「はい、岸辺さんに言われたとおり、室長のところへ資料を持って行って説明しました。そし て岸辺さんに室長の指示を仰げと言われていますといったら、資料を作ったのは私だから説明役をしなさいと言われました」
「それでどうなった?」
「いつも岸辺さんがしているように説明しました」
「それで」
「滞りなく会議は終わりました。会議録をすぐに作って室長に提出してきました」
「室長はなんか言っていた?」
「岸辺君がいなくても大丈夫だな! といっておられました」
「それは言い過ぎだと思うけど、まあ、うまくいってよかった」
「消化の良いうどんにしました。食べてください。食欲はありますか?」
「お腹は空く。いただきます」
うどんはだしが効いていておいしい。味付けが良い。地味子ちゃんも食べている。
「おかわりある?」
「食欲があるから大丈夫みたいですね」
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