地味子ちゃんが故障して困っていたコピー機を直してくれた!

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「私は派遣社員で、総務部で働かせていただいています」 「遅くまで大変だね」 「残業手当をいただけるので助かります。お給料がそんなに多くないので」 「じゃあ、そのうちに食事でもご馳走するよ、今日のお礼に」 「業務の一環ですから、お気遣いは無用です。失礼します」 彼女のお陰でようやく資料が完成した。やれやれ! 彼女がコピー機を直してくれなければ、今も悶々としていたことだろう。 これで明日の会議に余裕をもって臨める。朝からバタバタしているとろくなことがない。 総務部と同じフロアーだけど、あんな子がいるとは気が付かなかった。地味な感じであれなら目立たないし、気付かないかもしれない、正に地味子ちゃんだ。 僕は企画開発室のプロジェクトマネージャーで課長代理。室に課長代理はおかしいが役職名。一応管理職、だから残業代はない。入社12年で35歳、独身。 部下は一人いるが入社2年目の男子社員で仕事の仕方を教えているところ。上司は竹本企画開発室長で研究所時代の直属の上司、本社へは5年前に異動して来ている。 そして僕はその室長に呼ばれて3年前に転勤して来た。     
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