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この男のように法に平等な正義の味方の警察の中にあっても、あからさまな軽蔑を浮かべてみせる者もいるくらいなのだ。
性癖ではなく性的指向と言っただけでもまだましか。
言われ慣れてきたことだから、改まって腹を立てるようなことはしないが。
「だからって容疑者扱いするなんて馬鹿げてるだろう。そもそも思っていたとしてもそれを警察が口にしていいのか?」
織部は魅力的な口端を軽く吊り上げて鼻先で笑ってみせた。
「非生産的な人種を認める認めない云々は俺個人の見解であって警察は関係ない」
「なに?」
由汰は思わず綺麗な顔を歪めた。
好き好んでゲイになったわけではない。だからといって自分のセクシャリティを煩わしいと思ったことだってほとんどないのだ。自分がそうだと気づいた時、それなりに戸惑ったり悩んだりはしたが、事実そうなのだから由汰はそれを認めて受け入れた。
長い人生の中で天秤にかけたら、自分自身を一生偽って生きていくよりも楽だと思えたからだ。
子孫を残せないのは確かだが、それは女性であっても残せない人だって中にはいるわけで、決して軽々しく非生産的なんて言っていいものではない。
さらに言えば、この場で個人的見解を述べるなんてこともやめて欲しかった。
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