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「いえね、正直に言いますと実はこの少年たちの足取りがこの店を最後に途絶えてましてね。それを知るにあたって事前にこの店について少しだけ調べさせていただいたんですよ」
「店、ね……」
「決して南さんを容疑者だと断定したわけではないんです」
なるほど。あくまでも、彼らがこの店を最後に行方を絶ったからと言いたいらしい。
「説明してもらっても?」
長谷川は仕方ないと言いたげにしぶしぶ説明を始めた。
少年たちの名前は光音・エメリーと堀北蒼流と言うらしく、都内のインターナショナルスクールに通う十五歳の中学生だ。
キラキラネームと言うのを三十一歳の由汰でも聞き知ってはいるが、こう目の当たりにすると彼らが初老を迎えた頃のことを思って同情しそうになるのは自分だけだろうか。
光音はあきらかにハーフといった顔立ちで色素の薄いブラウンの髪にブルーのグラデーションの入った薄グリーンの目をしている。
一方の蒼流と言えば黒髪に大きな黒い目をして一目見て日本人だと判る。
ただ、今の子は顎が細くて目鼻立ちもはっきりしている上に、肌も白いので日本人離れした雰囲気はあった。
どちらも綺麗とカテゴリーされるであろう少年たちだ。だとしても、変態野郎に攫われてどこかに囲われていると推測するのは、あまりにも短絡的で飛躍しすぎだろう。
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