グリーン・アイ《前編》

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「まさか、僕を疑ってる?」 「違うのか?」  唖然として思わず瞠目する。  まさか、よもやこんなことが? 赤飯でも炊いて祝うべきか、うっかり真剣に悩むところだ。  自分が生きている間に容疑者扱いされる日が来るなんて。  それも一日の一番疲労している時間帯の、最高に体調が絶不調の時に。  冗談なら笑えるが、目の前の織部の表情はそれが冗談ではないと雄弁に語っている。 「悪いことは言わない。もしも、こいつらをこの家のどこかに囲ってるって言うなら、今この場で包み隠さず、とっとと吐いたほうがいい」 「吐いたほうがいいって……」  まさか本当に冗談だろ、と思わず首を傾げながら片頬で嘲ってしまった。  本気でそんなこと言っているのか。そもそも『囲う』などと言う表現が正しいのかもはなはだ疑問だ。  少しでも協力しようと思っていた自分が急に馬鹿々々しくなる。    客からの注文リストが入ったファイルをカウンターに取り出して、ペラペラとめくりだす。  敬語で対応する気も一気に削がれた。 「悪いけど、他を当たってくれ」 「言われなくとも。だが、今はお前に訊いている」 「お前って……刑事さん、あなたね」  さすがに咎めようとして身を乗り出すと、手の平一つで遮られた。     
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