手に負えない恋の病

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・ ・ ・ 「いい、願い事はちゃんと自己紹介してからだよ? 住所と名前もしっかり神様に挨拶するつもりで。自分がどこの誰かわかってもらわないと、叶うもんも叶わなくなるらしいから」 楽しそうに悠君の白い息が弾む。 「……なんでそんなに詳しいの?」 「それはね、ググったから」 新年の清々しい朝。 風がないからそんなに寒さも気にならない。 悠君は流れるような所作で手水舎(ちょうずや)の水で口をすすいだ。 知識はググったものでも、そういうのが身に付いてるところが育ちのよさ全開。 人混みを避けようと早朝に出てきて正解だった。 これくらいの参拝客なら、お参りしてから絵馬だってゆっくり書けそう。 悠君が張り切っている理由には、思い当たるふしがある。 本当なら伝説のクリスマスツリーに叶えてもらってるはずだった急ぎの願い事ってやつを、新年の絵馬に願掛けしたいんだと思う。 私にも実は悠君が帰ってきてからずっとこうなったらいいのになぁ、って思っていることがあった。 それを絵馬に書いてしまおうか、今悩んでる。
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