手に負えない恋の病

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「出でよ、マイ油性ペン!」 「どんだけ張り切ってんの?」 「だっていざってときにインクがカスカスだったら立ち直れないじゃん?」 ペンを取り出した悠君の左手にはお揃いの指輪があって、それがいまだに照れくさい。 学校が始まったらお互いペンダントトップにしちゃうから、冬休みの間だけでもこうしてはめてよっかって二人で話したんだ。 あと指輪といえば。 例のことも、忘れちゃいけない。 「そういえば、撮り直しの日程って決まったの?」 「うん、あれなら明日スタジオに来てって連絡があったよ。編集に時間がかかるから、撮影は早めに終わらせたいんだって」 「そっかぁ」 境内へ続く道を歩く自分の足元を見た。 砂利を踏む音がやけに耳につく。 新曲の発売予定が3月らしい。 ワイドショーに取り上げられて音楽番組なんかでも流れて、CDショップの店頭や、スクランブル交差点の巨大モニターなんかにも映し出されることを想像しておかないと。
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