手に負えない恋の病

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手を繋いだまま、元来た道を戻った。 冷静になってみるとやっぱり恥ずかしいな、あの絵馬。 だってこれから学校のみんなもその親御さんも、もしかしたら先生たちだってここに参拝にくるもんね? 京ちゃんなんか見たとたんに大笑いしながら電話かけてきそうだな。 「あれ、スマホ鳴ってる?」 コートのポケットで鳴ったスマホを悠君は手に取った。 「はいはーい。うん。え、今? 参拝すませて帰るとこ。 あー、ごめんね。そうそう……は、今から? 別にいーけど。沙羅ならいるよ、うんうん。 はい。わかった、じゃあとで」 会話はあっけなく終わってスマホはもうポケットのなか。 「今のもしかして田皆君?」 「そ、よくわかったね」 「昨日途中で抜けちゃったから……ごめんね」 久しぶりの集まりだったのに 悠君を独り占めして悪いことをしてしまった。 「全然気にすることないよ。ただね、昨日のリベンジで、また集まるんだって。今日こそ沙羅も連れてこいってさ」 「田皆君が?」 「うん」
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