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「なんでもいいから準備しよ? ねっ!」
グッズ列に早く並びたい一心で私はボタンつけを始めた。
ちょっとでも急がなきゃ。
何時間も並ぶって聞いたから。
私なんかよりはるかに当麻君の沼にハマってる京ちゃんのために、ばっちり品定めしたグッズを渡してあげたい。
そういう目標もあって一心不乱に裁縫に集中していたら、悠君が私の顔をじっと見ていることに気づいた。
「……どしたの?」
「いや、なんでもない」
目を逸らされてしまった。
まだ機嫌悪いのかな。
でもあのまま見つめられたら緊張して指を縫っちゃってたかもしれないな。
悠君の熱い眼差しは……そう、危険だ!
「なんかすっごい真剣じゃん」
「だってふざけながら縫い物できるほど器用じゃないんだもん」
「俺、沙羅のそういうとこ好き」
「ふぇ?」
「凛としててきれい。横顔に見とれる」
悠君は、照れた顔で微笑んでいた。
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