食い意地に勝るものなし

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 黒いあいつの正体は『ヤトウ虫』と総称される、蛾の幼虫だったみたいです。  漢字で書くと『夜盗虫』。  ネーミングセンスなかなか素敵です。  昼間土の中に隠れていて、夜に摂食する幼虫。  土は新しいものだったし、防虫ネットを掛けていたのに。  どこから入ったのか、今もわかりません。  さて、残ったキャベツは順調に葉っぱも増えまして。  真ん中あたりに葉っぱの巻いたやつが出来てきました。  熱い視線と声援を浴びながら育つキャベツ。    がんばれキャベツ!(応!)  負けるなキャベツ!(何に!)    どんどん巻いていくキャベツ……。  あれ?……巻いて?  うーん。  巻いて玉になる所が、大きくならない気がするけど。  いや、きっとこれから成長するのだわ。  見えないところが育っているのよ。  根とか、光合成するためのおっきい葉っぱとか充実させてるんだわ。  と、全く根拠もないまま思い直し。 更に待つこと一週間ばかり。  大きな変化が起こりました。  キャベツはすっかり育ちまして。  その中心には立派な……。  立派な茎がすっくりと伸び、  菜の花にとてもよく似た黄色の花が。  なんで?  千切りキャベツは?  回鍋肉は?  茫然自失。第二回引退宣言必至。  これ、『トウ立ち』と言われる状況だったようで。  いろんな野菜に時々起こる現象で、  育つ代わりに、花が咲いてしまうのですね。  旬を過ぎると、「トウが立つ」って言われたりしますよね。  語源は、芽を食べるフキノトウだったようですが。  野菜はヒトと違って、旬を過ぎる前にトウが立つようです。  とりあえず、菜の花だと妄想しながら、汁物にしていただきました。(ほぼ旦那が)  でも。  この「キャベツ(の花)を食べた」経験が、いろんな意味でトリガーとなり。  食べられるものを作りたい!  毎日食卓に、我が家産野菜を載せたい! という野望を抱いてしまうんですね。  食い意地に勝るものはないようで。私。  勇者ダンナと、家庭菜園ビギナーの私は、  懐中電灯と割りばし、ガムテ―プを武器に、  アブラムシやら青虫その他と闘いながら、次のステージへと参ります。 (ちょっとだけ)レベルアップする私たち (と、もっとレベルアップする敵)の菜園ライフ、継続の模様です。  
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