額に汗して無駄にがんばる

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 さすがに、予習不足を反省したビギナー。  指南書を熟読しまして。  トマトの花が咲いたら受粉させるとか、それは早朝にやらなきゃいけないとか。  トマトが受粉したつもりになれるスプレーがあるとか学習。 「ほー、色々あるんだ」 「とりあえず、トマトは一本だし、スプレーは無いね」  翌朝、朝露輝く庭に下り立ち。  耳かき片手に、ニヤリ。  後ろについてる白いフワフワの綿(梵天っていうらしいやつ)で、クルクルっと。  ……。  あかんやん!  露で濡れて、ぺっちゃんこですやん!  作戦失敗。  筆は?  そんなもん持ってません。  仕方ない、非常手段。  トマトの花を軽くトントン。  受粉さえできればいいなら、これでもなんとかなる、多分。  運がよければ実が付く……っていうか付いて下さいお願いします。  もう神頼み。  植え付けたときに立ててなかった、支柱も添えてしっかり結んで。  あとは収穫を待つばかり。  な、訳もなく。    ドキドキしながら数日後。  花が、ぽとり。  いやあああああああ!  ダメだったの??  よーく見ると、花の落ちたあとに、緑の小さな膨らみが。  うをおおおおおおおお! (一々うるさいよ、私)  これはトマトの赤ちゃんに違いない!  もう、猫の懐妊に気付いた時と変わらない喜び。  いや、むしろ里親探さなくていいし。  ウルトラエクセレント!  更に観察すると、ベビーなトマトから、葉っぱ2枚挟んだ茎のその先に。  チラッ。  新たなる蕾の塊が見えるじゃありませんか。  狂喜乱舞。  (どんだけ感動薄い生活してるのん、私)  指南書を熟読して覚えてきた、『脇芽』。  脇芽が伸びると枝葉が増えます。  分岐して、枝葉が増えると、養分が分散し、美味しいトマトができないそうで。  これもしっかり取って。 「なんか、ベテランに近づいてきた感じする」  と、思ったのは大きな間違い。  やっぱり★★★☆は、一筋縄では行かないのでした。    今の内よ。  素敵で楽しく、期待に満ちた菜園ライフの『気分』を満喫しておいてね、  私。ふふふ……。      
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