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『ほら、走って、走って!!』
「ハァッ、ハァッ……も、もぉ……む、り……ハァッ、ハァッ」
神社まで徒歩20分の道のりを走らされる私は、赤い靴を履いた女の子の気分だった。止まりたいのに止まれず、無理やり足が動かされる。
し、死ぬ……マジで、無理。もうダイエットとかどうでもいい……
願い事撤回するから、普通の生活に戻してぇ!!
『今更撤回出来ないよ。神様に、二言はないからね♪』
それ武士だし! 神様とか聞いたことないし!! てか、どっちでもいいわ、もう……
「ハァッ、ハァッ、ハァッ……」
最後の1段を登りきったところで石畳の上に寝転がった。誰が見てよーが関係ない。もう一歩も動けないし、動く気もない。
拝殿の扉が豪快にガラッと開いたけど、眉ひとつ動かさず青空を振り仰ぐ。と、陰に覆われた。イケメンの顔が迫ってるけど、そいつの目的が分かってる私には胸キュンなんて起こらない。
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