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「転校生を紹介する」 先生のその一言で教室がざわめいた。 高校2年の春。きみは突然現れた。 「北林蘭菜です!蘭菜って呼んでね!よろしく!」 僕の知ってる転校生像とは180度違う自己紹介だった。普通、転校生って緊張して声が裏返ったりするもんじゃないのだろうか。 その子は全く緊張する様子もなく、颯爽と指定された席につく。そう、僕の隣の席に。 「はじめまして!きみ、なんて名前?」 「...え!あ、えっと.....坂下隼人...だけど...」 おそるおそる返事をする。 「へぇ。じゃあ隼人って呼ぶね!隼人も蘭菜って呼んでくれていいよ」 「...あ、はい」 「...って、なんで敬語なんだよーう!」 「ご、ごめん」 初対面とは思えないほどの馴れ馴れしさに動揺しつつも僕らはなんとか自己紹介を終えた。 蘭菜はその後も何かと僕に構ってきた。どこに住んでるの?やら、何人兄弟?やら。 隣の席なだけあって、ほかの人よりもすぐに仲良くなれると思ったんだろう。 ときには自分のことも話してくれた。 話によると、彼女には弟がいて、母親と3人で暮らしているらしい。お父さんは小さい頃に亡くなったとかなんとか。 「蘭菜はパパが大好きだったんだけどなぁ」 よく彼女はそう言った。
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