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Kがこの件に関係しているということなのか?
困惑しているセイイチに海老名が畳み掛ける。
「ここ数日、Kがサンライズの人間と頻繁に接触していたらしい」
「サンライズ?なんであいつが?」
「記事をよく読め」
海老名に促されて記事の内容に目を通す。
前半はサエの生い立ちに関してのことが中心で、母親が内野あかりであることに触れ、同じアーティストを志した経緯などが書かれているさして珍しくはない内容の記事なのだが、文章の締めくくりとしてサンライズプロモーションから近々デビューすることが決まっているという記述にセイイチは唖然とした。
「明日にはサンライズプロモーションと正式に契約を交わしたことが発表される。
間を取り持ったのは、恐らくKだ」
海老名の信じられない発言に激しく動揺するセイイチ。
元はKもセイイチと同じサンライズのアーティストだったことを考えると、今なおコネクションがあってもなんら不思議ではないのだが、それでもこの唐突な展開には思考が追い付かなかった。
なにより四六時中一緒にいたはずなのに、Kのそんな行動に気づけなかったことを一番悔しく感じた。
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