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「どうしてあいつがそんなこと!?」
「それを聞きたいのは俺の方だ。
Kはお前の右腕だろ」
右腕と言われてセイイチは海老名の怒りの理由に気付いた。
なぜKの行動にセイイチが気付けなかったのかという点を追及したいようだった。
しかし誰にでも愛想がよく飄々としたあの性格は、人当たりが良さそうに見えて、その実掴み所がない。
自分に対して不満を持っているだろうとは感じていたが、それを表に出すようなタイプでもなかったためあまり深く考えたことはなかった。
Kのこの裏切りとも言える行動は信じ難く許せなかったが、そうさせてしまったのは自分にも責任の一端があると思うとやりきれなかった。
思い返せば、重要視はしてきたつもりではあったが、尊重はしてこなかった気がする。
サエを紹介された夜、いつもより食い下がってきたのはKなりの最後の抵抗だったのかもしれない。
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