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「何がビジネスチャンスだ。
お前はただ、サエの知名度を利用して金儲けがしたいだけだろ」
セイイチの切り返しに海老名は露骨に不愉快な表情をして怒りに顔を強張らせた。
激昂するタイプではないため怒りを増すほどに重苦しい空気を纏っていく海老名は、暗く冷徹な鋭い眼光でセイイチを睨み付ける。
「俺達はもうあの頃とは違うんだ。
今はこの会社を支えてくれる社員が沢山いる。
俺には彼らの人生を守る義務があるんだ。
みんながみんなお前みたいに好き勝手に生きていける訳じゃないんだよ」
「なんだと......っ!?」
今回の騒動がセイイチの振る舞いに端を発しているのは事実だが、セイイチは自分の信念に従ったまでだった。
それを身勝手だとは決して思わないが、海老名の台詞にはセイイチの失態に対する怒り以上の不満が顕れているような気がした。
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