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仕事には特に必要にならなそうなものを持ち出したユウコの行動を不思議に感じながらも、Kはケンジがまだやって来ないことの方に大きな不満を覚えていた。
ガレージのシャッターを閉じて鍵をかける。
そのまま引き上げようかとも考えたが、一応ケンジの到着を待つことにしたKは店の中に戻った。
作業中邪魔になるし、傷が付く心配があったため、スマートフォンは事務所の机に置いていた。
ディスプレイを点灯させると、何件か着信があり、すぐに折り返そうかと思ったが力仕事をしたせいか喉が乾いていた。
店の方に移動し、めぼしい物が何かないか物色していると何だか悪いことをしているような気がして急に後ろめたくなってきた。
こんなに待ち惚けを食わされているのだから、コーヒーの一杯くらい貰っても平気だろうと考えるが、一応先にユウコには声をかけておこうと思った。
しかしそこで、そういえば先ほどから彼女の姿が見えないことに気が付く。
そのまま店内のあちこちを探してみるが、ユウコの姿はどこにも無かった。
ユウコが忽然と姿を消してしまった。
店の中に特に変わったところは無いように思えるが、Kは何かが足りないような気がして嫌な胸騒ぎを覚えた。
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