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「どうです、彼女?
結構いい声してると思うんですけど」
Kがセイイチに向き直って自信ありげに声を弾ませる。
「ああ、そーだな。
いいんじゃないか」
セイイチはただボーッと文字が印刷された紙の表面に視線を這わせているだけで、返答は上の空だった。
そんな反応を見てKが「はぁー、やっぱダメか」と心底残念そうに肩を落とす。
「いや、ダメとは言ってねぇだろ」
条件反射的に返事をしただけで特に意味などなかったつもりが、迂闊だったと気付く。
セイイチは慌てて取り繕ったが、すでに臍を曲げてしまったKには無意味だった。
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