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「セイイチさんがそうやって気の無い返事するときは、大抵ダメじゃないスか」
「そんなことねぇよ」と言いかけて返答に詰まるセイイチ。
まだ若く美人だし歌唱力もある。
磨けばなにか光るものを見いだせるかもしれないが、それ以上の特別なものをサエに感じなかったセイイチは、彼女の歌声が人々の心に感動を生むような、一流の歌い手に成長していく姿がイメージ出来なかった。
歌の上手な美人なら沢山いるが、頭一つ飛び抜けなければプロとしては通用しない。
セイイチはそんな漠然とした物足りなさを彼女の歌声に感じながら、無意識のうちにあの歌声を思い出していた。
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