track10: アコースティックブルー

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 日が落ちて店の看板に明かりが灯る。  暖色の温かいランプの下で、雰囲気のいいジャズやボサノバを生バンドの演奏で聞きながら旨い酒や料理を気の合う仲間達と味わう。  そして時折、懐かしい有名人が顔を出す。  そんなBarTom&Collinsは今日も沢山の客で賑わっていた。  カウンター席には珍しく元Mor:c;waraメンバーのICHIROUが掛けていた。  普段SEIICHIの姿を見慣れている客達もICHIROUの来店には驚いてソワソワしている様子だった。 「大人気じゃんイチロウ君。まだまだイケるね」  店内の客達の視線を集める海老名にケンジが楽しそうに訊ねる。 「なんだか落ち着かないな。  もう俺はミュージシャンでもないんだから、静かに飲ませてもらいたいんだが」 「よく言うよ、嬉しいくせに」  ケンジが茶化すようにそう言うと海老名は照れ臭そうにしてビールを啜った。     
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