track10: アコースティックブルー

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「それより、セイイチがなんかやらかすって言ってたけど、なに企んでんの?」  不審そうに問いかける海老名に大してケンジは無言でニコニコするだけだった。  そんなケンジの反応に海老名が不気味さを感じていると、そこにセイイチが合流して海老名の肩を叩いた。 「よぉ、来たな」 「いったい何する気だ?あんまり面倒起こすなよ」 「まぁ、見てろよ。すぐにわかる」  セイイチがそう言うと見計らったようなタイミングで生バンドの演奏が終了した。  ベテランバンドの演奏に対して大きな拍手が送られ、慣れた様子で彼らがそれに応えるとそのままステージを後にする。  ステージ上からバンドの姿が消えると、酒や料理を注文するタイミングを待っていた客達から店員を呼ぶ声が一斉に上がった。  カウンターに近い席の客は席を離れてケンジに直接酒のオーダーをするために集まってくる。     
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