track10: アコースティックブルー

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 店内が俄にざわつき始めステージに注目する客が誰一人いなくなると、ステージ上に店のスタッフがひとり現れた。  アナウンスを始めるためにマイクのスイッチを入れるとその瞬間、マイクがハウリングを起こして嫌なノイズがスピーカーから吐き出され、店内の全員がその不愉快な音の発生源へ目を向ける。  緊張に笑顔をひきつらせた土井が、客達から向けられる抗議の視線を一身に浴びて硬直していた。  音響ブースで機材を監督しているKが大慌てで、音量の調整をしている様子がカウンターから見える。
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