track10: アコースティックブルー

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「......本日はぁ、バー トムコリンズにお越し頂きぃ、ありがとうございますぅ」  いつものようにんびりとした調子で始めたものの、表情はお説教を恐れる子供のように強ばっている。 「いつもならぁ、ここで終わりなんですがぁ~  今日はぁもうおひと方、皆さんに紹介したいシンガーがいますぅ~」  明らかに不馴れな演説に幾人かの客から小さな笑い声が聞こえた。  当の本人はそんな客の様子にはまるで気づかず、与えられた任務を最後まで全うしようと必死になっているのがカウンターから見ているセイイチ達にも解った。
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