track10: アコースティックブルー

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 ユウコの後ろにセイイチとケンジが現れてセッティングを始めると、ステージ上にかつてのMor:c;wara メンバー二人が現れたことで、既にステージに対して興味を失っていた客達が再び意識を向け始めた。 「Mor:c;wara 再結成か?」「ボーカルは女か?」そんな囁きが観客の中から聞こえてきて、不安を煽られているように感じたユウコは肩を強張らせた。  気持ちを落ち着かせようと胸に手を置いて深呼吸を繰り返していると、その様子に気づいたセイイチがユウコの背中を軽く押す。 「あいつにも聞かせてやれ」  人差し指を立てて頭上を指さすセイイチ。  指し示されたその先のずっと遠くに懐かしい友人の面影が浮かび、最後に会った夜、ライヴハウスで見せてくれたあの人懐っこい猫のような笑顔をユウコは思い出した。  今も店のどこかで見てくれているかもしれないと思うと何だか心強い。  不意に温かい安心感が生まれ、スッと肩の荷が降りたような気がして、セイイチの気遣いにユウコは感謝しながら落ち着いた表情で頷いた。     
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