23人が本棚に入れています
本棚に追加
Kと共に仕事をするようになって3年近くになる。
もとは同じレーベルに所属する後輩アーティストだったのだが、セイイチが仲間と共にインディーズレーベルを立ち上げ、移籍の話が進んでいたのと同じ時期に、Kの所属していたバンドが解散してしまったため、Kはセイイチのサポート役として共にレーベルを移籍することになった。
以来、スカウトとプロデュースの仕事を共にし、今ではセイイチにとってKは無くてはならない存在になっている。
己の信念に正直でこだわりが強い割に直情的で気が短いため、他人と行動を共にしたり協調するのがセイイチは苦手だった。
業界内では気難しい人物だと噂されているらしいが、今の自分が自由に振舞えるのはKという有望な右腕がいてくれるからこそだとセイイチ自身理解している。
しかし最近になってKとの意見の相違が表面化するようになってきており、セイイチはそれが気がかりだった。
因みにKというのはバンド時代のあだ名で本名は圭一。
セイイチと組まされた時、発音が似ていて紛らわしいという理由で、セイイチが社内の名簿や名刺まですべてKに統一させのだった。
最初のコメントを投稿しよう!