track10: アコースティックブルー

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 セイイチとイチロウが拳をぶつけ合い、そこにケンジが飛び込んで彼らと肩を組む。  そのまま3人がユウコの周りに集まって彼女の手を高々と掲げると、観客からさらに大きな拍手が起こった。  まるでMor:c;waraが復活したかのようなその場面に自分が居合わせていることが信じられないユウコは、嬉しさに目を潤ませて笑顔で手を振り、かつての恋人の姿を胸に描いて心の中でありがとうと叫んだ。  隣に立つセイイチが清々しい表情でユウコを見据えて満足そうに肩を叩く。 「ありがとう。  君のおかげで俺もようやく先に進めそうだ」  屈託なく微笑むセイイチにタスクが重なって見え、懐かしい恋人の笑顔に再会できたようでユウコは温かい涙を流した。
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