23人が本棚に入れています
本棚に追加
彼女が珍しいものでも発見したように目を輝かせると「さっきは何聞いてたんですか?」と屈託ない笑顔でセイイチを見つめる。
「さあな、俺も知らない」
「え?」
「人からもらったものでね。
こいつには一曲だけしか入ってないんだ」
「たった一曲だけ?」
「ああ、どこの誰が歌ってるのかも解らない曲さ。
その一曲だけだ」
セイイチがプレイヤーの操作パネルを触ってディスプレイのバックライトを点灯させると、画面には"No title"の文字列が表示された。
寂しげな眼差しでなにかを思い出すようにプレイヤーを見つめるセイイチに、彼女は「なんだか不思議な話ですね」と首を傾げる。
最初のコメントを投稿しよう!