第1章 決意

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第1章 決意

 西暦2365年12月25日。人類の約40%が致死量の放射線に被爆し、あらゆる通信網がダウン。個人から政府レベルまでのあらゆるデータが消滅した一大事件。 後に、『死のクリスマス』と呼ばれることとなるその事件は、超大規模の太陽フレアによるものだった。  それから10年、西暦2375年4月15日。フレアによる被害は想像以上に大きく、アルファやアトラス、地球に深刻な影響をもたらしていた。    当時、アルファ内に居た住民の多くは死亡したが、奇跡的に0.5%ほどの住民は致死量の被爆に足りておらず、緊急の医療手術を行い、助かっていた。  しかし、アルファの内、太陽から近い距離に位置していた所は、そのほとんどが機能を停止。居住施設としては使い物にならなくなっており、多くの難民を生んでいた。  難民の多くは、居住していたアルファから近い地球に移住。だが、地球も相当な被害を受けていたため、難民受け入れには多くの州が反対。放射線による被爆から、居住地としてのスペースが限界に近かったのだ。また、政府の政治統制も効かなくなってきており、郊外では強盗などが横行していた。  世界の国々が統一政府となって、170年。すでに、統一政府としての役割が限界に近づいていた。     州の受け入れ反対に対して難民の多くは抗議した。大半は対話による交渉で、何とか受け入れを許可してもらっていたが、一部の勢力は受け入れを拒否した州に反発し、武装蜂起していた。このような勢力はそれぞれ世界各地の地下に独自の自治区を設け、虎視眈々と地上の居住地の奪取を画策していた。  そして、北西大陸のとある地下自治区にいる、ある一人の少年にも、運命の選択は刻一刻と迫っていた。  
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