第1章 ようこそ島地団地島

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 島地団地島。  日本にある人工島。  本土から遠く離れ、無法地帯と化しているその島には様々なものが流れ着く。 ほら、こうしている間にもキミが海から流れ着いた。 こんにちは? 立てるかな? ああ、良かったね。 ん? 良くないって? ……そう、自殺しようとしていたんだね。なら、もうキミの名前を聞かない方がいいね。 何故? 名前ってのは生きようとしている人間の特権さ。なのに自ら死のうとするなんて……それではもう、キミがこの先その名前を使うことが許されない。 名前は、その人の命そのものだ。 だからね、命を1度自ら捨てたキミには…その大層な名前は似合わない。 どうすればいいかって? 僕に聞かないでくれるかな? ……でも、そうだね…キミがこうして迷うのは僕のせいでもあるわけだし…そんな子をここに1人置いておくのもね…。 一応、これでも善意は持ち合わせてあるからね。 キミはもう自ら命を絶つことはしないはずだ。 そうだろう? 何故ならキミは死ぬことを知ってしまった。恐れてしまった。 しかし安心しろよ。ここはそんな奴ごろごろしているからさ。 ここにいる警察だの、看守だの、アウトローだのその他もろもろは、ほとんどそんな奴らさ。 ここはキミの知る平和な日本ではない。皆が皆好き勝手やる無法地帯。日本政府もお手上げな島地団地島。
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