第十章 願い

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「ネコモリサマ。僕達が、この中に飛び込んだらどうなります?」  三笠君が新しい質問を切り出した。 「この中には、既にお前さんたちが居るからのう。それぞれ合体して一人の人間になる」 「記憶はどうなります。ここでの記憶は」 「そりゃ、忘れてしまうかも知れんのう」  うーむ。と三笠君が腕組みする。 「じゃ、こうして下さい。恩返しのお願いは猫に関する事って条件が必要だから、僕達の ネコモリサマに関する記憶は消えないようにしてください」 「まったく、注文が多いのう、おぬしら。ほれ、順番に頭を出してみい」  三笠君が、ネコモリサマの前に頭を差し出す。  ネコモリサマ、二本足で立ちあがるけど、三笠君の頭に前足が届かない。懸命に前足を バタバタさせている。なんか、可愛い。  私がネコモリサマを抱きかかえる事で、漸く三笠君の頭に手が届く。  今度は、三笠君がネコモリサマを抱きかかえて、私の頭を触らせる。  ネコモリサマが触った辺りが暖かくなる。その温もりが、頭の中に染込んで行く。  これで、ネコモリサマの記憶が定着した事になるのだろうか。
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