第十章 願い

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「思い出したかい? 作戦成功みたいだよ。周りの様子をみてごらん」  三笠君に促されて、周囲に目を移す。  えっ!?  不思議な映像が目に飛び込んできた。  周りの人や車が、ビデオの早送りの様に高速で動いている。  うわっ!?   通行人が私にぶつかった。思わず目をつぶる。  しかし、体に何の衝撃も感じない。  目を開ける。早送りの人々が次々と私の体をすり抜けていく。  さらに、私を取り巻く早送りの風景が、段々と色あせてくる。  遠くの空や建物は、既に色が消えて白い輪郭だけが残っている。 「僕たちは、時空の(はざま)に居るんだよ、きっと」 「どういうこと?」 「僕たちは歴史を書き換えたんだ」 「歴史を…、書き換えた?」
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