第十章 願い

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「そう。翠ちゃんが猫になったのは、濱野さんがネコモリサマを助けたのが発端だった。 でも、今のでネコモリサマを助けたのは、僕って事になった」 「そうか。だから、ネコモリサマは私の所に恩返しには来ない。私が翠を猫にする願いを することもない」 「これで元通り、翠ちゃんは人間に戻る。というか、何も起こらない事になる」 「ありがとう! 三笠君」  私は、思わず三笠君に抱き着いた。 「ありがとう、三笠君のお陰で、翠は人間に戻れる。ありがとう、ありがとう…」  感謝の言葉が途中から涙声になる。  そんな私を三笠君が優しく抱きしめてくれている。  止めようとしても、涙が流れ続ける。  それは、なんとも心地よい、暖かな涙だった。
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